2021年9月1日(水)
0. はじめに
群馬大学尾崎研究室は炭素材料を専門に取り扱う研究室です.炭素材料は主成分が炭素原子であることから,一見単純な材料だと思われがちですが,実際には極めて多様な状態を取る複雑な材料です.そんな複雑な材料である炭素材料なわけですが,炭素材料を詳しく説明した情報はweb上には殆ど無く,情報を得るためには論文や書籍に頼らざるを得ない状況になっています.学生さんにとっては,論文を探すとか書籍を購入するのはなかなか難しいと思われます.尾崎研究室では炭素材料をより広くの学生,研究者の方に知って頂きたく考えており,当研究室webページに炭素材料入門と題しまして,炭素材料の概要,特性,合成,分析といった炭素材料に関する情報を掲載していくこととしました.本ページでは,炭素材料に関する基礎的な内容を主として取り扱いつつ,最新研究の情報も適宜掲載できればと考えています.
読者の方々の理解の助けとなるよう,本ページの作成にあたり,図や表を多く取り入れるようにいたしますが,著作権の問題もあるため,多くの図や表は,ページ製作者が暇を見つけて独自に作ったものを載せています.本ページの図や表は基本的にはイメージ図であるとお考え下さい.また,本ページの情報を他の論文等に引用することは避けて頂けますようお願いします.
本ページは,群馬大学名誉教授の大谷朝男先生がご執筆された“炭素材料入門”を参考に作成しています.以下に大谷朝男先生が本誌にて執筆した前書きを載せましたので,ご一読いただければ幸いです.
「炭素材料は“古くて新しい材料”と言われる。太古の時代に生じたであろう木炭に端を発し,その後は“材料”として多様な変貌を遂げながら現在まで連綿として使われ続けている。昨今はフラーレン,カーボンナノチューブ,ナノグラフェンなどのナノカーボンが最先端機能性材料として大きな注目を集めている。 華々しい展開をみせる炭素材料であるが,その基礎となる“炭素化”や“黒鉛化”の研究はこのところほとんどみられない。この類の話を聞く機会さえないのが実情である。炭素の研究に携る者とすれば,炭素化や黒鉛化と言った基礎的知見を含めて大雑把にでも“炭素の全体像”を知っておくことが必要だろう。研究を遂行する上で有形無形に役立つことは必定である。本拙稿をしたためた動機である。こうした思惑があるので,できるだけ図や写真を多用して理解し易いように努めた積りであるが,目論見通りにことが運んだかは多分に心許ない。数十年も前のことになるが,“己の専門分野の“童話”が書けないようではまだまだ一人前の研究者ではない“と恩師に言われたことがある。浅学菲才の身をもってしては,何歳になってもその域には達せそうにない。理解しにくいところは,読者の努力で補ってもらう他はない。なお,図表は文献からそのまま転用したものが多いので,単位は統一されていない。多少戸惑うことがあるかもしれないが,本質を理解する上では問題ないだろう。図表の割付が思うようにいかず,文中で指摘した図表が別ページに掲載されて場合が多々あるので,少々煩わしいかもしれない。また労を厭って引用文献も記載しなかった。他にも不都合な点がありそうである。最初にお断りしておきたい。」
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